新入社員の離職率が高くて悩んでいませんか?
手塩に掛けて育てた新入社員のがすぐ辞められては、せっかく育てた時間や苦労が水の泡になってしまいますし、何よりまた新しい人を見つけて一から育てなければならず大変です。
この記事では、新入社員世代が考えていることと、それに対して上司や先輩が心がけることをお伝えします。
上司や先輩のマインドを変えるだけで、新入社員離職をぐっと抑えることができますので、若手離職に悩んでいる方はぜひこの記事をご覧ください!
新入社員離職の現状
新入社員の離職率は、過去からどう推移してきているのでしょうか?
厚生労働省のHPにここ30年分のデータがあったので掲載します。
ここ数年は卒業後3年以内に短大卒で約4割、大卒で約3割が離職していることになります。
過去から見ると、増減を繰り返していますね。就職率とも相関があるようですが、ここでは本題から逸れますので詳しくは記載しません。
比較的大きな企業での新入社員離職は確実に増えている
いっぽう私の肌感覚では、大手企業に代表されるような歴史ある企業でも若手離職は確実に増えています。
そこでここ数年分のデータをふたたび厚生労働省のHPから調べ、グラフにしてみました。
従業員数1,000人以上の企業で、卒業後3年以内の離職率のデータです。
これを見ると、比較的大規模の企業でも右肩上がりに離職が増えています。
おそらくひと昔前は、「大企業に入っておけば安心」とか「終身雇用が当たり前」という風潮があったと思います。
ところが最近では、大企業といえど盛衰があり、必ずしも将来安泰というわけではなくなってきています。
加えて、いわゆるGAFAMなどのIT企業の台頭で、歴史ある日本の大企業の求人優位性が相対的に下がってきているのも一因と推測しています。
これまでは放っておいても人が集まってきていたのが、人材獲得に苦労するようになった人事の方も多いと思います。
新入社員社員世代が感じていること
私が実際に会社でアンケート等を取って確認した新入社員世代の声を紹介します。なお、ここで言う新入社員世代とは、1990~1997年以降に生まれたいわゆるミレニアム世代の終盤と、Z世代のことを指します。
①成長実感が感じられていない
入社したら雑用ばかりやらされ、自分の市場価値が高まっている気がしない・・・という声をよく聞きます。
SNSで常につながっている大学の同級生たちは、もっと活躍しているのに、、、という焦りも背景にはあると思います。
上司や先輩が新社会人だった頃は、「まず3年我慢する」などといった空気があったと思いますが、それを今の新入社員世代に押し付けても、変化の激しい時代に3年はかなりのロスだと感じてしまいます。
②ITリテラシーのギャップ
今の新入社員世代は、学生時代から当たり前のようにスマホがあり、常に仲間とつながっているのが普通です。
LINEやskackなどのチャットで、簡単にシームレスにコミュニケーションを取るのが当たり前になっている人たちが、入社してみたらやれ依頼書のハンコ決済や回覧だの根回しだの、役員報告のための準備だのに必死に奔走している先輩たちを見ると、「チャットすれば済むのに・・・」とか、「PDFデータで送れば済むのに・・・」と思ってしまうのは自然なことです。
おまけに、ロクにメールも打てない、web会議もできない上司などを目にすると「この会社、大丈夫か・・・?」と不安になりモチベーションが下がるのは当然のことと言えます。
③社会に貢献している感覚が得にくい
今の若者世代は、SDGsなどの浸透により社会貢献したいという意識の強い人が多いです。
自分のやっている雑用が、果たして社会にどう貢献しているのか・・・と頭を悩ませている人も少なくありません。
SDGsはビジネスにおいても必須の知識になるので、まだ詳しく知らない!という方は以下の本などにわかりやすく書かれていますのでぜひご一読頂けたらと思います。
④会社のミッションに向かって進んでいるのか疑問
これもよく聞く声ですが、新入社員は就活の際、昔よりも会社のミッションをしっかり見て入社を決めている人が多いです。
これは昔と比べ会社のHPなどで容易に情報が手に入りやすくなったことや、冒頭に述べた「大企業に入れば安心」という風潮がなくなり大企業であることそのものの優位性が薄れたことで、会社のミッションに賛同できるかどうかで判断している人が増えているからだと思います。
目の前の仕事が、会社のミッションにどう貢献しているのか?が見えないという声が多いです。
⑤ワークライフバランスが保てない
昔のようなモーレツ社員がもてはやされた時代はとっくに終焉しています。今の時代に大事なのは、なるべく男女含めた皆が働くこと、なるべく短時間で働くこと、多様性のある人材が活躍すること、です。ここについては以下記事でも解説しています。
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そんな中、未だに長時間労働を是とし、先輩や上司が遅くまで働く風土が蔓延している企業は大丈夫かと不安になるのも頷けます。
また、出世よりもプライベート!、あるいはプライベートを犠牲にしてまで出世したくない、という考えが主流になっている今、24時間働き続けるスタイルの会社では新入社員が辞めていくのも当然です。
先輩や上司が心がけるべきこと
では、そういった新入社員世代の声に対して、先輩や上司が心がけるべきことは何でしょうか。
①いま新入社員がやっている仕事でどう成長してほしいか明確にする
業務をアサインするとき、極力その業務の目的は何で、これをやることによってどんな成果を期待し、そして成長にどう繋がるかを丁寧に説明してあげてください。
もちろん、ちょっとコピーを取るとか、お茶汲みとか、そんな説明ができない業務もあると思います。そういった業務までいちいち上記を説明する必要はありませんが、なるべく多くの業務で上記を説明してあげるように心がけてください。
②「若手は教えられるもの」という気持ちを捨てる
特にITなどはそうですが、「若手は上司や先輩に教えられるもの」「新人は何も知らない」という固定観念は捨ててください。
今の新入社員世代は、上司や先輩の世代が知らない世界をいっぱい知っています。ITツール、SNSも然りですし、当たり前のようにやってしまっている無駄な根回しなどにも気づいてくれるのが彼らです。
入社して長くなればなるほどそういった感性は薄れていくものですが、彼ら彼女らの発想のおかげで業務の効率化につながることも少なくありません。
最近では、若手社員をベテラン社員のメンター(仕事の悩みの相談相手になったり、指導したりすること)にしているケースもあると聞きます。ITに疎いベテラン社員を若手社員が教えるという構図で、これはとても面白い取り組みだと思います。
③誰の役に立つ仕事かしっかり共有する
上記①の業務アサインの際、成長ポイントだけでなく、「誰の役に立つ仕事か」ということもしっかり共有してあげられるとベストです。仕事の目的の延長線上には、必ず誰かの役に立つことが待っているはずです。
逆に、誰の役にも立っていない仕事であれば、やめてしまうべきです。丁寧なアサインをすることで、そういうことに気づくこともできます。
④上司や先輩が、会社のミッションに真剣に向かっていることを態度で示す
これはちょっと難しいかもしれませんが、新入社員は上司や先輩がきちんと会社のミッションを理解し、それを意識しながら仕事を進めているのかを見ているものです。
一度会社HPなどであなたの会社のミッションをしっかり確認し、日々の会話の中で「今の仕事は会社のミッションにどう貢献する仕事か」というのを表現できると、新入社員も安心できますし、組織としてもベクトルを合わせることができ成果向上につながっていきます。
⑤無理に飲み会に誘ったり、過剰な残業を強要しない
昔と違い、上司や先輩と飲むのが苦手だ、苦痛だと思う人も増えています。
無理に誘っても決して仲は深まりませんので、通常のコミュニケーションで親睦を深めることを意識してください。
残業も強要してはいけません。間違っても、「仕事が終わっても上司が帰るまでは帰れない」ような雰囲気を作り出さないこと。あなたが上司なら、あなたが定時で切り上げる気概でいてください。
ポジティブな転職は応援する
ここまで心がけても、離職をゼロにすることはできないかもしれません。
ですが離職には、大きく2つのパターンがあります。
B.ステップアップのための転職で辞めていくパターン
この記事でここまでに書いたことを守れていれば、会社が嫌で辞めていくパターンは限りなくゼロにできるのではと思います。
いっぽう、ステップアップのために辞めていくパターンはゼロにはできませんが、こうしたポジティブな転職はむしろ応援してあげるという寛容さも大切です。
私の周りにもいましたが、そういう人は決して今の会社が嫌いで辞めていくわけではないので、転職先でも前職はいい会社だったという広告塔になってくれることもありますし、何年か経ったら実力をつけて戻ってきてくれる場合もあります。
部下や後輩からポジティブな転職の相談を受けたら、ぜひ背中を押してあげてくださいね。
まとめ;新入社員の考えを理解し、イキイキと働ける会社に!
違う世代の考えを理解し、行動変革につなげるのはなかなかすぐにできることではありません。
ですが、人材は人財とも言うくらい、会社にとって一番の宝です。
新入社員がイキイキと働き定着する会社は、必ず世の中にとっても必要とされる会社になります。
以下の本なども参考にしながら、まずはあなた自身が変わっていくことで会社を良くしていってください!
それでは、最後までお読み取りいただきありがとうございました。