男性育休の法改正の5つのポイントと、なぜ男性育休が重要なのか?についてわかりやすく解説!

2021年6月3日、男性の育児休暇が取得しやすくなる法改正が衆議院にて成立しました。

男性育休推進派の私が、今回の法律改正の5つのポイントと、男性育休がどうして必要なのか?企業側のメリットって?という観点でわかりやすく解説していきたいと思います!

法律改正のポイント

今回の法改正のポイントは、以下の5つです。

①企業から男性への意向確認を義務化したこと

②男性版産休ともいえる「出生時育休」を新設

③育休を分割して取得できるように制度変更

④非正規労働者への要件が緩和

⑤大企業への、男性の育児休業取得率の公表を義務化

特に目玉商品は①と②ですね。

日本は男性育休の取得率がとっても低い!

日本は男性育休の取得率が2019年時点でわずか7%。しかも1週間以内の取得が過半数という状況です。

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00814/のデータより引用

スウェーデンやノルウェーは取得率80%超え、ドイツも30%を超えていますから、日本は他国と比べても完全に出遅れている状態です。。

今回の法改正で、従業員やその配偶者の妊娠が分かった時点で、企業は男性社員に対し育児休暇を取る意思確認を行う義務が発生しました。

これまで、子供ができても取るかどうかさえ聞かれない人が圧倒的多数だったでしょうから、これは小さな用で大きな一歩です。聞かれもしないよりは、聞かれたほうが取得率は上がる傾向にあるでしょう。

管理職の方は、自分の部下にお子さんができたという報告を受けたら、育休取得を取るかどうか、必ず聞いてくださいね。

また、男性版の産休とも呼べる、「出生時育休」の制度ができたことも大きな進歩でしょう。

この制度は、子どもが生後8週になるまで最大4週間の休みを取ることができます。さらには、2回に分けて取得が可能なので、例えば配偶者の出産時と退院時に合わせて休暇を取得することができるようになりました。

私自身も経験ありますが、出産の前後はとにかくばたつきます。一人目の時は不安でいっぱいですし、二人目以降だと今度は上の子どうする・・・という問題が発生します。また、よく聞く声として「この時期に夫に休んでサポートしてほしかった」というものがあります。

今回の改正で、必要な時に休んでサポートしやすくなりました。

日本は男性の育休制度が充実している!

こんなに男性育休の取得率が低い日本ですが、実は育休制度は世界トップクラスに恵まれています

例えば男性が取得可能な育児休暇期間は、世界一長いです。それ以外にも、育休中の給付金なども男性育休先進国にひけを取りませんし、ユニセフ(国連児童基金)は世界の子育て支援策に関する報告書で、日本の男性の育休制度は世界1位の水準だと言っています。

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00500/より引用

ではなぜ、取得率が低いのか?

育児休暇を取得していない男性に、取得しなかった背景を聞いた調査結果があります。

日本労働組合総連合会による「男性の家事・育児参加に関する実態調査」(2019年)より引用

まず、「取得したかったができなかった」人が30%いること。この方々が全員育休を取ることができていたら、日本のスコアは約5倍に伸びる計算になります。この方々がなぜ取得できなかったか、というと、「仕事の代替要員がいない」(63.6%)や「男性が取得できる雰囲気が職場にない」(46.4%)などの理由があるとのことでした。

また、「取得するつもりがなかった」と答えた人の理由は、「仕事の代替要員がいない」(47.3%)が最も高く、次いで、「収入が減る(所得保障が少ない)」(36.6%)、「男性が取得できる雰囲気が職場にない」(32.2%)、「仕事にブランクができる」(13.9%)、「男性が取得するものではないと思う」(11.3%)となっています。

両者に共通して言えることは、“育休は女性が取るもの”という意識や、“取れる雰囲気がない”という事です。

男性が育休を取ると、企業にとってどんなメリットがある?

上記で解説したとおり、日本にはまだまだ男性の育休取得に対する理解が浸透していません。

企業側からしても、「大事な戦力に長期間抜けられては困る」という本音があるでしょう。

しかし、これからの時代、女性だけが育休を取得する状況が続くのは企業にとっても決して嬉しくないのです。

昔と今の違い

かつて高度経済成長期からバブルに至るまで、重工業の比率が高く、かつ安さ早さが求められた時代は、以下が勝ちパターンでした。

【昔の勝ちパターン】
●なるべく男性が多く働く(重工業多く筋量が求められる)
●なるべく長時間働く(安さ早さへの対応)
●なるべく同じ条件の人をそろえる(均一な価値観で一気に進める)

ですので、いわゆる典型的な「モーレツ型社員」が評価され、出世していく時代でした。

少し違うかもしれませんが、イメージは「島耕作」の世界観です。笑

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なるべく男女ともに働き、かつ多様性のある企業が勝つ

昔は上記の通りでしたが、2000年代以降は人口構成の変化と産業構造の変化により、勝ちパターンが変わってきています。

【今の勝ちパターン】
●なるべく男女とも働く(頭脳労働の比率高い)
●なるべく短時間で働く(労務費高い+クリエイティブな仕事多いため集中力求められる)
●なるべく違う条件の人をそろえる(市場が均一なものに飽きている)

上記の話は、私がリスペクトする小室淑恵さんの著書で触れられています。

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昔は男性ががむしゃらにたくさん働けば、それだけ企業は潤っていきました。

でも今は、男女問わず働き、そして育児・介護などの多様性を認めていく会社こそが、勝ち抜いていける時代になってきています。

そんな中、男性育休というアイテムは女性が活躍するためにも、そして多様性を生み出すためにも、必須アイテムとなっているのです。

何よりも風土づくりが大事

これまで、男性育休の大切さについて説いてきましたが、何より大事なのは育休を使う側のモラルと、男性育休をしっかり認めていける企業側の風土づくりです。

制度を利用する側は、なるべく早めに上司や人事に相談し、準備をする時間を作って迷惑をかけないようにする。

育休を申告された側の上司や人事は、それを前向きに認めていく。間違ってもそれ自体で評価に悪影響が出るようなことはしない。

という、双方の歩み寄りが何より大事です。

ま と め

男性育休の法改正のポイントと、その重要性について解説してきました。

せっかく充実した制度がある日本ですので、制度をフル活用できる意識と風土をつくり、グローバルに対抗できる状態にしていきましょう!

男性育休に関しては、この著書も大変参考になります。

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私も自社で浸透させるべく、頑張りたいと思います。

それでは、最後までお読み取りいただきありがとうございました。

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